雨・赤毛  新潮文庫  改版版 (1959/09)  サマセット・モーム著 中野好夫訳
                                                
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これらが南海もの、と言われるのは・・・,  2005/2/15

要モームの短編のあらすじを明かすのは厳禁。だから、レビューのために必要な限りのキーワード的紹介をすると、

「雨」:サモアの雨季。小止みなく降り続く雨。けたたましいスコール。足止めされた船客。その中での宣教師の奮戦。

「赤毛」:自然の作り出したままの島の自然。それは、調和が取れていてとても美しい。そこでの若者の恋。

「ホノルル」:原始的迷信の不可思議な世界と現実界とのあたかもの交感。

これらが南海もの、と言われるのは、太平洋熱帯の島々が舞台であるというだけでなく、それらの島の自然も登場人物といって良いほどに重要な役割を担っていることも与っていると思われる。それらなくしてモームらしいお膳立ても効果が半減してしまうように思われる。だからそれらを単なる背景として読み飛ばすのではなく、素敵な登場人物であるかのようにしっかり読みとってほしい。それから、願わくば、観光でもバカンスでも良いのでそれらの島のどれかに行ってその自然を堪能したら、それから/もう一度、読んでみることをお薦めしたい。いっそう、リアルに感ずること請け合い。


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