自由訳−老子 新井 満著 朝日新聞社 (2004/3)

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新井風老子に、それぞれの老子理解をぶつけて読んでみよう, 2004/04/24

「老子」の本文を読んで(または眺めて)いると、初めは分からないことが多いが、そのうちに少しずつ読み取れるようになる。それをある程度繰り返した時に、たとえばこの本を読むと、あっそうか、ここはそう読むのか、そういう意味なのか、などと教えられたり、待てよ、そこはちょっと違うんじゃない、などと思うこともある。

「老子」は奥が深く幅も広いので、その読み方は、人様々になる。この本も、新井満風老子の読み方を示してくれる。新井さんは、如何に生きるかを中心に読み取っておられる。私は、他にも、加島祥造さん、伊藤淳子さんなどの「老子」の読み方に接して、自分の読み方を鍛えさせてもらってきた。

書物は、多少なりともそんな読み方、つまり知識を得るよりも自分の知恵を鍛えるような読み方をするのが良いと思うのだが、とりわけ「老子」は、そんな読み方が相応しい。新井満風老子(の読み方)に、読者それぞれの老子理解をぶつけながら読んでみると、新井さんの上を行くことすらできるかも知れない。「老子」とこの「自由訳−老子」はそんな本だと思う。

所々に挿入された自由訳の一片を添えた美しい写真。環境映像を手がける新井さんだけに美しい。が、それ故にいかにも割り込んでいる感じで、読むリズムがしばしば削がれ、冒頭にグラビア風にまとめるなどの方が良かった、と感じて評点をひとつ削らせていただいた。


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