挽 歌

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吾子逝きて星となりしか桜舞う

如月の望月の花吾子見ずや

来る年も桜咲くごと吾子や来よ

開聞の菜の花夢み吾子逝けり

北の果て鉄路にサビタならび咲く

ウルトラの星となりせば帰り来よ

カナカナにつつまれ吾子は墓に入る

かなかなと吾子の骨奥津城に入る



幼き日吹雪くガラスに「旭川市民ニュース」と息掛けて画(か)く

SLと気動車混じり走り来る標津線こそ鉄路のはじめ

標津線T字に走るおかしさを笑んで語りしあの日がはじめ

衣装、箸、鉛筆、画鋲、整理良し。しかしほこりはなぜか払わず

怒罵声と幼児と遊ぶ優しさの混じる不思議の生き難かりき

きまじめに一直線をつらぬけば生き難かりき世こそ現代

果てしなき原野切り裂き行く鉄路、考えてみれば唯我独尊

粗暴さの目立ちし吾子の逝きてのち眼の前にある優しき遺骨

逝きし児の夢に目覚めてえ眠れず秋の夜長は明けまほしけれ

逝きし児にああすればとて思うまい甲斐なきことと知ればなりけり

逝きし児にああすればこうすればとは思うまいとぞ甲斐なきことを

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