大きな森の小さな家 福音館書店 (1972/07))  ローラ・インガルス・ワイルダー(著)、恩地三保子(訳)、ガース・ウィリアムズ(画)

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自然に思いっきり触れる,
2007/1/18

ローラの物語は、今から約130年ほど前のアメリカ中西部を舞台に、ローラの幼児時代から結婚後までを追います。

全9巻で、その成長ぶりがよく出ています。大自然にとっぷりと浸かり、それらを柔軟な感性でしっかりと受け止めて、インディアンを含め、いろんな人たちがいることを知り、交わり始め、すくすくと育ってゆく幼年時代。草原や川やそこに住む動植物と親しみ、自然のすばらしさや美しさを肌で知ると同時に、畑のこと、家畜のこと、バッタの被害なども知り、冬の厳しさを通して自然の怖さをも学び、農業とか社会のことも少しずつ知って行く少女時代。そして娘時代には、仲間同士の葛藤を経験し、教員の免許をとり、働いて賃金を得ることを学び、下宿生活をして子どもたちを教え姉の大学行きを援助します。馬車も御します。いろいろな社会経験を積みながら大人になって行きます。そして、アルマンゾとの恋愛を育て家庭を持つことになります。

この最初の巻では、リアルな自然描写が冴えますが、父さんは狩猟採集に近い毎日で、豚・鶏の放し飼いもすれば、メープル・シロップの恵みにも預かり、母さんは熊に触ってしまうほど人々は自然にふれあっています。ここで培った感性の豊かさが、ローラをどんなに大きくしたか、と思わせます。

家族のつながりの強さと深さ、これもローラの物語の特徴です。この森で人が増えすぎたと判断して、他の地へ移ろうと考えた父さんは、当時の開拓者の典型なのか、興味をおぼえます。


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