微光の道 辻邦生(著) 新潮社 (2001/04)

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作者としての辻邦生、読者としての辻邦生, 2001/5/7

著者生前のエッセーから、自作の成立にまつわるエピソード、読書、日本並びに海外の文学に関するものを集成していて興味深い内容が豊富。とりわけ、著者の作品に登場する魅惑的な女性像についての思い入れを明かす数編は、それ自身が短編小説と言っても良いほど。読書について雑誌連載した初回分は、読書子の共通の気分を代弁していて、読みながらウズウズしてしまう。著者の読書経歴の端々を語る文章の多くが、その視野の広さと識見の深さを納得させてくれる。美とは何か、美をいかに芸術に体現させるか、を追求し続けた著者の人間像が読後に鮮明に残る、そんな本。作者としての辻邦生、読者としての辻邦生を縦横に語って興味つきない一冊である。

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