日本文学史序説 上・下 ちくま文庫(筑摩書房)(1999/04)  加藤 周一(著)

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上:自然科学的方法による日本思想文化史序説, 2003/2/28

日本文学史を自然科学的思考法により解析した日本思想文化史序説。時空的比較に特徴があり、日本の土着思想が外来思想との対比で論じられ、仏教と儒教と神道はしばしば引き合いに出され、菅原道真のシナ語の詩文と紀貫之のかなを利用した叙情詩が比較される。下巻では、宮沢賢治が柿本人麿に比較される。上巻は元禄文化まで。


下:高校あたりの教科書の文学史がこんなに個性的だったなら・・・, 2003/2/28

近現代では、誰を、何を選んで論ずるかがおもしろい。室生犀星、若山牧水を選ばずに萩原朔太郎、石川啄木を選ぶ。中村真一郎を選んで伊藤整は選ばない。徳富蘆花では「思出の記」を取り上げても「不如帰」には言及しないなど・・・。全部読むとその理由もみえてくる。ところで、上巻の序章は総論、下巻まで読んでからもう一度読むと本書の理解がビシッと決まる。学校の教科書の文学史がこんな風に個性的であればどんなに良いことか。


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