デカルトの旅 デカルトの夢―『方法序説』を読む    

       田中 仁彦 (著)    岩波書店 1989年3月23日 第1刷

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デカルトがどんな意味で近代合理主義の開祖なのか

どんな動機にせよ、「方法序説」を読もうと思った人が、入門書としてひもとくには良いかもしれません。なぜならば、「方法序説」の書かれた時代背景がよく分かるからです。でも、本当は、それは副次的な情報であって、本当のところは、「方法序説」(時に「省察」なども)をどう読みとるか、特にデカルトが近代合理主義を切り開いた人であるということがどういうことだったのか、というところを具体的に考察した本なのです。著者の説を批判的に読みとった上で、「方法序説」を読むとかなりよく分かる。その上で、読者が、デカルトがどのような意味で近代合理主義の開祖なのかを考えてみると良いのではないでしょうか?
 これも副次的なことだけれど、「デカルトの旅」(すみか替え)と「デカルトの夢」が実に重要なエポックをなしたことよ、と思い、ひるがえって、現代では、旅はともかく「夢」の効用はその時代に比べるとちっぽけなものになってしまったことよ、とつくづく思いました。

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