遠藤周作と歩く「長崎巡礼」 (とんぼの本) 新潮社 (2006/9)   
                                遠藤周作(著) 芸術新潮編集部(編)


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遠藤周作の「長崎」を追体験してみたい, , 2010/2/16

文学の舞台に立ってみると、その文学の要所について追体験が出来て、それだけでも感動することがあるが、文学の内容の理解がいっそう深まることも多い。いわゆる文学散歩などの好まれる所以である。

長崎は、見所の多い町のように思うけれども、遠藤周作『沈黙』、『女の一生(1,2部)』などの主な舞台であり、彼の「母なるものを求める旅」の主な舞台でもある。そして、読者がそれらの地に立って、遠藤の「旅」の追体験をしようとすれば、そのためにこの本はまことにふさわしく、頼りになる案内人である。上記の著書などからの文章が多く引用され、小説の場面を思い出しながらそれら舞台を歩くことが出来る。これ一冊持てば、原本持参はほとんど不要であり、記憶力が旺盛な若い読者なら引用文以外の筋書きなども思い起こせるであろう。書名にある「遠藤周作と歩く」がぴったりである。

個人旅行で、公共交通機関を使い、目的地周辺は徒歩を想定した詳しい歩き方ガイド、順路地図が付いている。建物の入場料、休館日、電話番号などの情報も記されている。

私もいつの日か、この本を携えて、遠藤の心の旅を跡づけながら彼のテーゼを追ってみたいと思う。

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