完訳 ファーブル昆虫記 第2巻 上   ジャン=アンリ・ファーブル(著) 奥本太三郎(訳) 集英社
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ファーブルゆかりの地を訪ねて昆虫記を読むこともおもしろい,
2006/6/29

この巻では、16歳で早逝した息子、昆虫に特に熱心だったジュールに対する長めの献辞からはじまり、自由に昆虫と交わることができる広い庭を持った家「アルマス」を購入した喜びを謳い、多くのページを割いて、ハチやサムライアリの帰巣本能をダーウィンを引きながら考察し、進化理論に対する疑問を投げかけます。

巻末の生物の和名・学名対照リストをみても、ファーブルが、昆虫だけでなく植物やその他の動物にもたくさんの目を向けていることがわかります。この巻では、猫の行動まで調べ考察します。すなわち、昆虫の帰巣本能は、袋に入れてグルグル振り回しても攪乱されない、ということと、猫を袋に入れてグルグル回すと引っ越してももとの家に戻らないという伝承との類似に目を付け、猫の帰巣本能の考察をするのです。でも、猫を振り回すことを、結局、彼自身は実行しなかった、というのはほほえましく感じました。

私は、数年前、ファーブルゆかりの地を訪ね歩きましたが、その時の記憶を持って読むと、書かれている風景や、アビニョンとオランジュとセリニャンの位置関係など、いろいろと具体的に目に浮かび、少年時代に読んだ時と全く違う世界が見えることに気付きました。この全集は、数年越しの企画です。終巻までの間に、サン・レオン、アルマスなどへの訪問を、まだの方は、検討されても良いのではないでしょうか。


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