農場の少年―インガルス一家の物語〈5〉 福音館書店 (2003/04,再版)  ローラ・インガルス・ワイルダー(著)、恩地三保子(訳)、ガース・ウィリアムズ(画)

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ローラが見たアルマンゾの少年時代,
2007/2/20

将来、ローラの夫となるアルマンゾ・ワイルダーの9歳頃の物語。まさに農場の少年よろしく、畑起こしや種まき、カボチャの世話や牛たちの飼育、小麦や牧草の収穫、麦の脱穀や革なめし、木こりなど、父さんの導きもよろしく経験して行きます。それらの仕事があるときにはそれにかこつけて学校に行かないほど。そんな生活の中で、時には失敗しながら頑張ることや誠実に生きることなどもしっかりと身につけて成長します。後に、長い冬に嵐で閉じこめられても食糧確保に橇を走らせ町の人々を救うなどするアルマンゾの勇気は、こうして準備されていたことなどもうなずけます。

この本は、ローラが後にアルマンゾから少年の日々を聞きながら書いたものに違いありません。しっかりとローラ調に仕立て上げられていて、ローラが見たアルマンゾの少年時代という感じです。そこには、生きることへの楽天性、農場だけでなく料理をはじめ日常生活、(アルマンゾの父さん母さんの)子育てなど仕事に打ち込む一生懸命な姿が生き生きと描かれています。

その時代の農場のありさまを描きながら、ローラがこの本を書いた時代の農業が(そして、今現在のそれはますます)あまりに経済効率本位になっていることをさりげなく批判しているように読めるところも散見され興味深いです。


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