月光浴    新日本出版社 (2010/01)

                   旭爪 あかね(著)  

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「世の中、今のままで良いはずがない」と考えるあなたへ, 2010/3/6

「農稲の旋律」「風車の見える丘」につづく3部作の完結編。

第1作「稲の旋律」でSOSを発信した千華さんも、第2作「風車の見える丘」で社会に出た5人組も、この作では、彼らと係わるいろいろな人たちの中で新たな歩みを始めます。そして巻末近く、主人公の千華さんは思うのです「意気揚々と、とはいかないだろう。私はきっとこれからも、月の光を背中に受けて、薄闇のなかの細い道をとぼとぼと、迷いながら、つまづきながら、外の世界へ出ていくだろう」と。

自然界のゆったりとしたリズム/テンポに沿った生き方が人間本来の生き方であり、先を競って一刻でも早く前に出よう、一歩でも先にでようという生き方を強制する現代社会がいかに異常であるか、を考えさせられます。その点、三部に共通して描かれる農業は、まさに自然と一体となっていのちを支える生業であり、それがもっと大切にされる社会になって欲しいです。

世の中、今のままで良いはずがない、と考えるあなた、作者の描く物語の中で、主人公たちと「稲の旋律」を聞き、「風車の見える丘」を眺めて、月の光を浴びてみませんか。

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