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銀河鉄道の旅

銀河鉄道、最初の駅は
月を間近に希望峰
そこから日本がよく見える
黒く澱んだ安倍川に
注ぐ清流藁科川が

次の駅は白鷺座
そこに列車が近づくと
藁科川の源流が
緑の森に覆われて
滝の音さえ洩れてくる

遙か南の空に来て
ケンタウロスの駅に着く
そこには鳥追う人が住み
藁科の里にいて
戦を止めろと言いし人

非国民と呼ばれても
見せしめ招集されたとて
冬は厳寒マンチュリア
民と兵士を守り抜き
死んで銀河の火と燃えた

サザンクロスの見える駅
魚釣る人が駅長で
昔の人の蹟を知る
そこは湿原マンチュリア
巨大イトウが棲む水辺

魚釣る人は七夕の
星が写りし玻璃の陰
マンチュリアから引揚げの
物語る声謳う声
藁科河原の砂ぞ鳴る

あの戦争のただ中に
戦争はダメと節曲げず
訴え続けた人がいた
その人の心育てたは
藁科の水その銀河

乙酉八月マンチュリア
白鳥開拓渡河完了
直後に橋は爆破され
年寄りと女子供は哈爾浜へ
敵の大軍立ち往生

河を挟んで作業隊
渡河作戦を妨害も
鳥追う班長狙撃され
武装解除の兵達の
頭上に流れる星ひとつ

藁科川原に魚釣りて
帰る夜空は白鳥座
過ぎり流れる星ひとつ
遙か南に流れ去り
銀河ゆらりと揺れしかや

ケンタウロスの祭りには
カラスウリの灯点滅し
アイガモ達もはしゃぎたて
希望峰駅経由して
藁科川を馳せ下る

銀河の果てでも議会でも
アルキメデスやピタゴラス
ニュートン、ダーウィン、湯川らの
法則、森羅万象を
貫き通す道理あり

安倍の河原の汚水さえ
藁科川の清流の
湧きでる仕組みの法則を
鳥追う人の遺志通り
生かせば還る、イワナさえ

つめくさひともすこの祭り
糸杉の陰空に延び
銀河のもとに歌流れ
「木枯しの森」に集い来る
民百姓の火が燃える

しあわせ願い火が燃える

ノーラさんの「言の葉あそび」のサイトで、お誘いを受け書き継いだらこんなものになりました。ノーラさんのお誘いには感謝しますが、できばえにはお許しを願います。しばらく推敲を重ねようと思いますので、もし思い出されたならば、時々覗いてみて下さい。  (2007.7.19)

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