銀のしずく降る降る―知里幸恵「アイヌ神謡集」より (郷土の研究@)  星の環会 (1993/03)

                   知里 幸恵(著)、知里むつみ(修訳)、横山孝雄(絵)  

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アイヌ神謡の世界へ、子供も大人も一緒にどうぞ, 2008/10/27

この本では、ふくろうと子どもたちをはじめ人間達との貧富をめぐるなりゆきが語られます。

「アイヌ神謡集」に描かれる物語は、アイヌ特有の自然観、生命観と宗教、道徳などを含み、時に難しいところがあります。しかし、この本に取り上げられた物語は、知里幸恵著の原本の最初に登場する物語なのですが、知里さんの姪、むつみさんによって分かりやすく書き直され、筋書きもシンプルで比較的理解しやすいものになっています。丁寧に描かれた絵が理解を促してくれます。解説も見開きごとに書かれています。

「銀のしずく降る降る・・・」というリフレインは、この物語中に何回も出てきますが、言葉(アイヌ語も)として美しく親しみやすいです。物語の内容を理解したあとでは、アイヌ語のローマ字書きとそのふりがなをたよりに声を出して響きとリズムを楽しむこともできます。読み聞かせにも良さそうです。

このように、子供向けの絵本としては、少し欲張った内容構成ですが、大人も一緒に楽しめる本となっています。「アイヌ神謡集」、ひいてはアイヌの世界への入り口として良くできた本だと思います。


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