林芙美子―女のひとり旅    角田 光代、 橋本 由起子   新潮社(とんぼの本) (2010/11)  

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旅する作家、林芙美子, 2012/2/1

林芙美子は、その生い立ちから、幼い頃の九州をはじめ、尾道、東京などをあちこちと住み渡りますし、後年、文筆生活を確立してからは、ユーラシア大陸を、また、日本国内をかなり旅して回っています。旅する作家です。そうした芙美子の歩いた中から、本書では、門司、尾道、東京、パリ、北海道、北京、屋久島に焦点を絞り、芙美子の紀行文を読んで行きます。

書名にもあるとおり、芙美子の旅の記述は、ひとり旅に面目鮮やかです。本書の基軸も彼女のひとり旅におかれています。ひとり旅のペンには、その人の気持ちが色濃く映し出されるというわけです。本書で芙美子の紀行を読むと、確かにそのとおり、旅に現れた個性的感性が輝いています。

角田さんの総論、橋本さんのエピソードも、林芙美子の旅を色づけてくれます。写真も美しく、芙美子の旅を印象深く辿ることが出来る好著です。

旅のガイドブックには向いていません、旅する作家、林芙美子を垣間見るための本です。このあと、原作に当たってみたくなるかもしれません。



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