風車の見える丘    新日本出版社 (2005/10)

                   旭爪 あかね(著)  

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生き辛いこの世の中を人間らしく生きる道とは?, 2010/3/6

農業大学の風力発電研究会に集う5人の青年の物語です。卒業後はそれぞれの道を歩き始めますが、競争社会の荒波が襲います。悩みもがきながらも、5人のきずなを大切に生きてゆきます。若者にとっても生き辛い世の中で人間らしく生きる道とは何だろうか、物語は、前作「稲の旋律」の主人公と合流しつつ展開して行きます。

競争社会、自己責任論といったキーワードで表せる生きづらい社会で、いかに生くべきか。それを深刻な人生論でなく、日常のありふれた若者の生活を通して描いています。社会や自然の仕組み、農の営み、人と人とのつながりの中で生きる普通の人びとの姿を描いています。だから、読者にとってもすんなりと物語の中に入って行けて、読み終わったときには、丘の上に青い空を背景に立っている風車のごとく、ゆったりとして爽やかで、それでいて力強い何かを感ずることができるのではないでしょうか。読後に残るさわやかさは、前作とも共通するこの本の(作者の?)すばらしいところです。

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