完訳 ファーブル昆虫記 第2巻 下
ジャン=アンリ・ファーブル (著), 奥本 大三郎 (翻訳)    集英社

2006/3/23

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多くの昆虫がしばしば土をねぐらにしている,    (2006/11/20)

この巻は、ほとんどハチが主人公。タランチュラと呼ばれる大きいクモを狩るベッコウバチ。キイチゴの茎に並んで作られるミツバツツハナバチの巣は、茎の随の屑で固められ一列に並んで茎中に作られ、その小部屋には密と花粉が蓄えられ卵が産み付けられ、やがて蛹になる。スジハナバチにはスジハナバチヤドリゲンセイが寄生する。ゲンセイやツチハンミョウはハチの体にとりつき「過変態」とファーブルが名付けた変態様式をする。等々々。

その他、この巻を読んでいて気がついたことは、ハチをはじめじつに多くの昆虫が土をねぐらにしている、ということ。ヌリハナバチは泥で巣を作り、「泥の家」という属名まで持っている。タランチュラも地中に巣を作る。スジハナバチは崖に無数の巣穴を掘る。第2巻上のジガバチ、トックリバチ、ナヤノヌリハナバチ、第1巻のアナバチなど、皆それぞれ独特の土の住み処を持つ。土と昆虫の関係?面白いかもしれない。

この巻に繰り広げられるファーブルの生態観察は実に徹底しており、時に何年にもわたり、何度も何度も繰り返され、忍耐強く長時間続けられ、生活が博物学そのものといって良いほど。勿論、今までの巻でもそのような姿がうかがえた。昆虫記のすごさの依ってくるところの一端であろう。

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