まず、昆虫採集のおもしろさを、思い出させてくれる。それは、子どもの頃、純粋にそう思ったことを思い出させてくれる、ということ。次に、収集家や標本商が何をしているか、何をしてきたか、を自分や仲間の例、歴史上の大収集家などの逸話によって示してくれる。最後に、昆虫採集が昆虫の多様性や繁殖力や環境依存度の強さなどからして環境破壊とは関係がなく、むしろ、自然環境の大切さ、命の大切さを考え、それらを守る精神を鍛えてくれることを示してくれる。文は人なりというが、この本を書いた人が、それらのことを真摯に訴えていることがその文章からわかる、と私は思った。