ミトコンドリアが進化を決めた    

        ニック・レーン(著)  斉藤 隆央(訳)  みすず書房  (2007/12/22)

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生命の世紀に、読み応えあるこの本を是非    2008/06/01

ミトコンドリアが、生命の起源、その後の進化、生物の多様性、性の起源、老化など、生命に関する重要なプロセスに決定的な役割を果たしている、という大胆かつ明快な論を、この本においてイギリスの科学者ニック・レーンは展開する。

科学啓蒙書であるが、さほど読みやすくはなく読み応えがある。生命科学の最先端の成果を、多くの科学者の説に則って解き明かすのであるから、私のような素人がスラスラ読むわけにはいかない。しかし、ゆっくり、時には繰り返しつつ読むならばほとんどのところは明らかになってくる。

この本のより良い理解のためにいくつかのカギが見える。まず、全体を通して理解するためには、1,2章で述べられる水素仮説と呼吸鎖についての理解である。個々のトピックスは、7部に分けて描かれるが、その中が2つ又は3つの章からなっている。それら章のタイトルが各部のトピックスを理解するキーワードになっている。それらを具体的に把握するように読めば、分子生物学の専門家でなくともかなり理解できるという仕組みになっている。

21世紀は、生命の時代と言われることがある。その時に、この読み応えある書物から、40億年にわたる生命の歴史と生命の仕組みを詳しく理解することは有意義なことと思われる。

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