三浦梅園自然哲学論集    岩波書店 (1998/05)  岩波文庫

                   三浦梅園(著) 尾形純男・島田虔次(編)  

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反観合一、現代の矛盾論ほか, 2003/6/15

三浦梅園の自然哲学体系ともいえる「玄語」「贅語」「敢語」のいわゆる「三語」は、梅園独自の用語や概念により彼の到達した世界観、認識論、実践論を展開しているところが多いため私のような凡人にはきわめて難解である。本書は、彼の著作のなかから梅園自然哲学を「多賀墨卿君にこたふる書」や「贅語」の代表的部分などを選んで注解、現代語訳することにより理解しやすくしてくれている。

梅園哲学の神髄は、現代的課題との関係でいえば、「反観合一」にあるといえようか。つまり、世の物事の存在は矛盾に根拠をもつ。したがってそれをあるがままに理解しそのおもむくところを理解しようとすれば、つまり「反して一なるものあるによりて、我、これを反して観、合わせて観て、その本然を求むる」ことが!肝心である、という。実証的精神に則りこの世のすべてのことを素直に観て、それに基づいて世の道を行えば、自ずから治まる、と教えている。現代にこそ、それが求められることは、読書子の易く肯んぜられるところであろう。

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