大草原の小さな家 福音館書店 (1972/08)  ローラ・インガルス・ワイルダー(著)、恩地三保子(訳)、ガース・ウィリアムズ(画)

                                         ローラの物語の目次へ

ローラの眼は、自然界から身のまわりの社会へと,
2007/1/19

ウィスコンシン州からカンザス州への幌馬車の旅(これは、実に千キロ余、札幌から東京を過ぎ静岡あたりまでに相当する!)を通して、プレイリーも平らな草原ばかりでなく谷山あれば川もあり、その川も、流れは激しく、泳ぎの上手な犬でさえ渡りきれず行方不明になる(後からひとりで帰ってくる!)こともある。小さな家を建て、ささやかな牧畜を始め畑も開墾する。狼の群れとその鳴き声に緊張をおぼえる。子どもたちもそうした生活の中から大自然との共生を学ぶ。インディアンの風習や権利をも考える。そう、そこはインディアン・テリトリー。父さんは、漂泊の情にも動かされ、インディアンの地から脱出することを決め北への旅に出る。

6〜7歳のローラの眼は、自然とのつきあいから、次第に身のまわりに展開する社会というものへと拡ってゆく。しかし、ローラ一家にとっては、インディアンをその地における先輩と見ることは考えるべくもなかった。それは、アメリカ西部開拓のその後の歴史を多少なりとも先取りしていたのかも知れない。


ローラの物語の目次へ
図書室の玄関へ
トップページへ