感動を与える試合

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2004年のプロ野球日本シリーズは、選手の持てる力を発揮できた程度の違いの勝負であった。両チームとも、選手の可能性をうまく引き出してシリーズに臨んだ、という共通点があった。その上で、リードオフマンの1番バッターからクリーンナップへのつながりがどうであったか、6番以下の活躍で加点ができたか、守備の力でどれほどに相手の攻撃を封じ込んだか、などのせめぎ合いにおいて、総合的にわずかに勝ったのが中日ドラゴンズでなく西武ライオンズだった。

 野球でもサッカーでも、良い試合というのは見る者にしばしば大きな感動を与える。監督が駒を動かすことの善し悪しが感動を与えることはあっても知れている。大きな感動をあたえる試合は、「勝利」をもとめて持てる力と日頃の練習の成果を最大限出しあってチーム同士が全力でぶつかるところに生まれる。それがきわだった試合が歴史のひとこまとして強く記憶に残る。他人を押しのけて前に出る受験戦争や、格差が広がり落ちこぼれがうまれる競争社会の競争とは全く違うしのぎあいである。人間の持つ力の可能性の限りなさが感動を与えるのかも知れない。向上心のぶつかり合いが感動を呼ぶ、ということでもあろうか。

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