完訳 ファーブル昆虫記 第1巻 上                           , 2006/1/5

ジャン・アンリ・ファーブル(著) 奥本太三郎(訳)   集英社

科学の部目次へ戻る

第1巻上は、スカラベ(フンコロガシ)と狩りバチを扱う。日本人にとってフンコロガシがポピュラーだとしたら、そのかなりの部分をこの本におっていると思う、とりわけ、その巻頭に記されていることに。私も、昭和30年代前半、本屋で見つけた河出書房版第1巻にそれを読んで、おもしろい虫がいるものだ、と驚き、馬が歩いた農道で探した記憶がある。もちろん、その時は見つけられなかった。

 今回、改めて読んでみて、当時、こんなに読みやすい本があったら良かったのに、と思ったものである。それは:
 第1に活字が大きいこと。河出版の倍ほどの大きさの活字が使われている。岩波文庫版(昭和30年発行)の3〜4倍に見える。第2には、脚注、訳注が豊富なこと。その両方にダブって解説されていることさえある。図までついている。そこでは、歴史的背景、その後の科学の発展で分かったこと、修正されたこと、我が国の場合などを解説してくれている。あわせて、口絵のカラー写真、挿絵は現代のものが使われているため鮮明であること。そのかわり、原著にある図や写真が省略されたが、それらは岩波版などで確認できるので、よしとすべきであろう。第3は、訳がこなれていること。

 2ヶ月に1冊のペースで発売になるようなので線を引き々々読んでみた。そして、以前読んだものと比べたら、同じ所に線を引いていることが多いのに驚いた。これは、私が進歩していないのか、ファーブルの記述がそれだけ印象的なのか、何なのか?皆様もこの機会にゆっくりと通してお読みになってみたらいかが・・・

このページの最初へ戻る
図書室の玄関へ戻る
科学の部目次へ戻る
トップページへ戻る