エッセンシャル タオ   加島 祥造(著)  講談社(2005/10)

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加島流タオのエッセンス, 2006/02/08

老子の門に入る手引きを、そして加島流タオイズムへの誘いをしてくれる格好の書。

加島さんは、老子道徳経全81巻は81編の詩だ、とおっしゃる。この本の前編では、それらの詩のうち、エッセンシャル部分を各編から抽出して紹介してくれる。後半では、老子道徳経をどう読んで、どう生活に生かしてきたかのエッセンスを聴かせてくれる。

加島さんは、老子のエッセンスを、優愛、自足、不争の三つにまとめておられるが、同時に、掬めども掬み尽くせないとも説く。この本では、ところところで老荘思想と書いてそれにタオイズムとルビを振っているが、そのタオイズムは、2500年来の思想であり、またきわめて現代的でもあって、例えば今の競争社会に警鐘を鳴らし、その中でどう生くべきかをも示唆する。81巻末尾の不争を説くところでは、私は思わず昨今の憲法論議を想起してしまう。

加島さんの個性を感じさせる書であるが、老子など古典の読み方は多様である。加島さんが、どう老子をお読みになったか、を鑑に、読者それぞれの読み方を見つければよい。その意味でも、読んで多くの刺激を得られる好著として多くの方にお薦めしたい。



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