肚(はら)―老子と私 加島祥造(著)日本教文社

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加島さんはとうとう肚で考えるようになった, 2006/2/28


加島さんは、老子と暮らすうちにとうとう「腹=肚で考える」というところまで行き着かれた。

人間の意識はしばしば「知情意」に3分され、知は頭で考えることであり、情や意は心で思ったり感じたりするものだと誰もが少しは考えたことがあるでしょう。それを加島さんは開腹手術をした後で、肚で考えるのだ、と思うようになったという。そして、頭で考えるとするのは父権的思考法、肚で考えるのが母権的思考法である、そして加島さんはご自分のお母さんのことを肚で思い続けてきたのだ、と気づく。老子が柔らかさや優しさを大切にするのは、それらと関係がある、と説かれる。そして、生命がエナジーに生かされ、自らの輝きを失わない限り、そして永遠の命とつながっている限り、これからの時代は暗いものではあり得ないとおっしゃる。この本で説かれる加島説はこんなに平板ではなくもっと豊かで深いので、ぜひ、原文にあたって熟読玩味していただきたい。

私は、修養がたりないのか、まだそれらを十分には納得できないけれど、競争が煽られる社会で格差が広がり庶民や自営業者がしわ寄せを受ける姿を見るにつけ、加島さんが注目される肚思考の柔軟性、母権的思考や肚からくる命の大切さが今いっそう輝いて見えることはよく分かるのです。

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