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老子さんよ


あなたは、何と、
2500年も昔、
中国大陸のどこかの村外れを
牛の背中にまたがって
何でも知ってるような顔をして
歩いていた。

あなたが話したことを聞いてみると
聞くほどに、聞くほどに
すごいことを言っていた、
ってことらしい。

コペルニクスもダーウィンも
アインシュタインやマルクスも
あなたの仲間(本当か?)の孔子さんだって
あなたの広く深い思いには
とても追いつけなかった。

微塵の極みから無量大数の彼方まで
すっぽり包んでしまう懐をもち
疲れ切ったホームレスからビル・ゲイツまで
どんな人でも友達にしてしまう
そんな度量を持っている。

上善は水の若(ごと)し・・・
其の無に当たって器の用あり・・・
人の生まるるや柔弱・・・木は強ければ則ち折る・・・
學を絶てば憂いなし・・・
聖人の道、為して而して争わず。

回転の速度を
年々歳々、どんどん
増している
この地球を
空中分解から救う知恵を
あなたは持っているか?

しかし、あなたは
2500年も前に
この世からいなくなっていて
答は返らない。

今残っているのは
あなたのものと伝えられる言葉だけ。
81編の詩となって
私たちの前に
投げ出された言葉の花束だけ。

その言葉から
詩から
私たちは何を
くみ上げうるか?

この地球の上に
今世紀も
来世紀も
子どもたちの声がさんざめくために

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