ロシア革命史(4)    岩波文庫 (2001/01)   トロツキー(著) 藤井一行(訳)
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十月革命直前の緊迫した権力争いと問題点など興味深い分冊,  2009/4/28

7月事件後の反動的な動きの中で、労働者、兵士、そしてソヴェト内でのボリシェビキに対する支持が急激に高まります。トロツキーは、ペトログラード・ソヴェトの議長に選任されます。本分冊では、そうした中で、権力獲得に至る戦い方をめぐるボリシェビキ内部の議論(そこには武装蜂起の是非やタイミングなども含まれますが)もかなり詳細に紹介されます。併せて、当時の農民層がどのような状況に置かれ、それをいかに打破しようとしていたか、それにボリシェビキがどうかかわったかなどが描かれ、さらにロシア民族以外の特に辺境に住む多くの民族の自治をどうするか、の議論も展開されます。

十月革命直前の時期を扱うこともあってか、本分冊の描写の多くがボリシェビキと協調主義者などとの権力をめぐるせめぎあいに関するものです。その反面、なぜボリシェビキが支持を急激に拡大できたのか、たとえば、勤労者や兵士がボリシェビキのどのような主張・政策に、その生活や日常との関係において利益を感じ共感したのか、といった説明や描写はほとんどありません。世にある歴史書の多くが、どの国、どの時代を扱おうが、その通りなのですが、ボリシェビキが人民大衆に基盤をおき、その解放を果たしたのであるからには、どのようにそれがなされたのかを知りたいところですが、それがない。ストレスのたまるところです。

トロツキーは、後にスターリンにより追放されるわけであり、本書執筆は、既にそのような状況下で行われているのですが、スターリンの言行に関する記述は、私憤を表すところなく進められます。しかしこの分冊では、少しだけスターリンの将来の専断独走をほのめかす記述が見受けられます。

武装蜂起に関する方針の是非が巷の新聞紙上に投稿され議論されたりするのですが、そうしたことは敵前に手の内を晒すことになると思ってしまうのですが、どうも解せません。

最終分冊では、いよいよ十月革命の数日間に突入します。本分冊は、そのような緊迫した時期の権力争いと若干の問題点を提起していて興味深い分冊になっています。

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