消費税は下げられる! 借金1000兆円の大嘘を暴く 

  (角川新書)    森永 卓郎 (著)    2017/3/10


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安倍政権が、この提案にどう応えるか, 2017/8/6

本は借金大国である」と言われているのは嘘である、ということを図表や数字を使って説明されると納得してしまう。さらに、すぐに売ることの出来る資産を国はたくさん持っているということも同様である。消費税は、実際には、ほとんどが社会保障に使われてはおらず、消費税増税の9割が企業減税に振り向けられた、ということも同様である。

日本の消費税はヨーロッパに比べて高くないことも根拠をもって説かれる。そして、消費税は、低所得者ほど多く払うことになっている事実、大企業はそれを払うことを回避できるが中小企業には重荷になっていることなども説明される。さらに、社会保障の財源は、別に用意することが出来ることもデータを以て示される。このような消費税を増税する政策に道理がなく、むしろなくすことで経済格差を是正し、消費を増やすことがこれからの日本にとって選ぶべき道である、というのである。これらは、道理がある主張である。

では、消費税をなくすにはどのような途があるか。消費税の税収は地方税分を含め22兆円程度である。それを、たとえば通貨発行益を宛てることだけでも調達できる。その他にも、貯蓄に課税する、金融資産全体に課税する、法人税率を元に戻す、タックスヘイブンに逃げ出した資金に課税する等々、財源はいくらでもある。その他、消費税をなくした経済効果もある。そうしたところが著者の主張の主だったところである。

消費税に焦点を絞っていえば、これらは合理的な主張である。しかし、現実には、経済は、所得税をはじめ他の多くの税制をも同時に考えないといけないし、現実政治においては、この通りにスムーズにはいかないだろう。政策の総合的整合性が必要になる。しかし、少なくとも現在の安倍政権が、この提案にどう応えるのか聞いてみたいところである。

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