資本主義の終焉と歴史の危機 

  (集英社新書)    水野 和夫 (著)    2014/3/14


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超低金利は資本主義の終焉の証し, 2017/9/19

長期にわたるセロ金利は、投資をしても利潤として実らない社会の証し。過去、13世紀に利子が成立して以来、それは高下を繰り返してきました。ところが、ここに至って、世界中が超低金利にとらえられています。それは、勿論、日本だけの現象ではなく、先進国、そして新興国にも蔓延しつつあるのです。これは、資本主義の終焉を示すもの、と著者はいいます。アメリカでは、金融工学などを駆使して、瞬時に金利を稼ぎ、結局、貧富の格差を極端にまで拡大しています。新たな辺境に利潤を求めての道ではありましょうが、やがてそれとても壁に突き当たるとみます。バブルが弾けるというのです。著者は、それらを具体的にデータを示して説くのです。したがって説得的です。

こうした資本主義の終焉において、つぎはどうしたら良いのかをも著者は考えます。「より速く、より遠くへ、より合理的に」と走り続けた資本主義でしたが、その反対、つまり「より近く、よりゆっくり、より曖昧に」というシステムへソフトランディングする途を考えよう、と著者はいいます。それの具体化は、これからみんなで考えようというのですが、著者は、この後、「閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済」を書いて、この先の話を一歩進めています。

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