荘子 ヒア・ナウ  加島祥造(著) パルコエンタテインメント事業部 (2006/09)

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「老荘思想には、喜劇精神とユーモアがたっぷりある」, 2006/10/7


著者の加島さんは、「タオ−ヒア・ナウ」で老子を詩の形にして訳す、つまり詩訳をしてくれました。それ以来、老子の世界を、ご自身の体験を通し紹介してこられました。予想できたことですが、今回、『荘子』の詩訳を試みられました。岩波文庫で4冊もある荘子ですからその一部なのですが、加島さんの言葉によると「一読して面白いと思った話」45編を詩訳してくれました。『荘子』への導入を助ける書です。

荘子の面白さとは、加島さん敬愛のアーサー・ウェーリイと林語堂によればそれぞれ「世界で最も面白くて深い書」「老子の笑いは乾いた低い声だが、荘子はしばしば噴き上がる勢いの笑い」とのこと。かくして「老荘思想には、喜劇精神とユーモアがたっぷりある」のです。

「朝三暮四」「胡蝶の夢」といった有名な話も出てきます。それらが、『荘子』の目次とは関係なく並べられていますが、『老子』からの2,3行のフレーズ13編が所どころに挿入されています。これは、老子の言葉により章を区切っているのか、一連の流れの中に関係する老子を配したものか、多分、私は前者かと思って読んだのですが、これも面白い試みです。

装丁に関わる話ですが、加島さんの墨彩画をパソコンのいわゆる壁紙風に要所に配しており雰囲気を醸してくれます。栞ヒモを3本もつけてくれました。これは、どこでも面白いと思ったところを繰り返し読んでみて下さい、というメッセージのようです。

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