タオ―老子 加島祥造(著) 筑摩書房 (2000/03)

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詩人は老子をどう読んだか, 2004/8/2


老子道徳経全81章の加島訳本。加島さんには、PARCO出版発行の「タオ、ヒア・ナウ」という訳本もある。後者は、かなりの意訳というより、どう読みとったか、その結果を詩(と数葉の写真)で著したものということができる。81章の内、15章は省略されている。加島さんによると、「原文を参照せず、幾冊もの英語訳『老子』本を元にして、生きた口語訳を試みた」ものであった。だからかと思うが、とてもこなれていて読みやすい。老子の家に裏口から入れてもらったような親しみやすさを感じた。

しかし、この本は、道徳経の内容に則した「自由口語訳(加島による)」である。詩訳といってもよい。詩人でもある加島さんが老子をどう読んだか、が示されている。一種の注釈書でもある。それも、とってもよくこなれた注釈書である。原文をほとんど意識させない。そのせいか、各章末には返り点付きの原文が添えられている。興味のある向きには、加島による詩訳と原文との比較も可能。さらに諸橋轍次や金谷治、福永光司、小川環樹などによる老子の伝統的なテキスト・注釈と対照させてみるのもおもしろそう。

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