タオと谷の思索 加島 祥造 (著) 海竜社 (2005/01)

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タオ(老子思想)の応用編, , 2005/07/10

加島さんは、タオ(老子思想)についての数冊の本を出しておられるのだけれど、タオの谷には汲めども尽きない水が流れているらしく、この本では、また新しい切り口を開いて見せてくれました。

この本は、全くのタオの応用編です。著書「タオ-ヒア・ナウ」までに加島さんは、独特なタオの読み方を試みられました。その後、老子を読み直しては、新らしく深く読みとる方法と、生活をタオ風に磨く歩き方とを、次々に本にして示してくれました。

今回は、老子の言葉はほんのわずかしか引いておられません。タオを消化して血肉としたところで、伊那谷の自然に囲まれつつご自分の生活をタオの理解に沿って楽しみ思索を重ねられています。たくさん本をお出しになったので、今やお金持ちになられたようにお見受けするのだけれど、それとてタオ風にお使いになる。バリ島に1ヶ月も滞在しても有名なリゾート地ではなく田舎に行く。リゾート地に行ってもお仕着せのツアーには目もくれず、「水にゆすられて・・・『蘇生の思い』を味わ」う。

この本は、あまり長くなく、加島さんの水墨画風の画文もついていて、字も大きめで読みやすい。しかし、加島さんの流れる文を追ってゆくと、突然、画文が割り込んで来て、せっかくの名調子が分断される。素晴らしい絵ではあるので、口絵にでも並べて頂いて良かったと思う。しかし、画文が来たらすっ飛ばして無視して読み続け、画文は後でゆっくり眺めればよいことではあり、加島流タオイズムを貶めるものでは全くない。

タオイズムって、初めてだけどなかなかいいじゃん、と読むことが出来れば良い入門書になる。読みながらよく考えることを厭わなければ、読者のタオイズム理解を鍛える訓練にもなる。いずれにせよ、タオに関心ある方にお薦めの一冊。



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