土っこ賢さ        

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土っこ賢さ、と
呼ばせてもらっていいですか。

あなたは、
アドレッセンスの真っ最中
石が何より好きだったので
石っこ賢さ、と
呼ばれていました。

そして、
盛岡高等農林学校
農芸化学の研究室で
土壌の学理を学んでは
風景を見極め、土を掘り、
鉄や礬土を分析し
イーハトーボの野や山で
森羅万象に遊んだのです。

あなたは、ある時
気がついきました、
土は生命のふるさとだ、と。

あなたは、ほんとに短い生涯、

石をかんかん
風とどっこどっこ
雲とくぷくぷ
雨とざっこざっこ
星の光とちらちら
交わったのです。

冷害でおろおろ歩く少年を
知恵と知識でずんずん励まし
酸性でぎしぎしの畑の土を
炭酸石灰でどしどし改良したのです。

羅須の地で耕しては語り明かし
ツメクサの野原で歌い交わし
私たちに
愛と夢と表象の詩(うた)を
残してくれました。

あなたはどうして
そんなことができたのですか、

森羅万象
それらすべての真底から
それらすべてを最後まで
見通しながら詩(うた)にする
知恵と視点と力とが
土からあなたにうつったので。

土っこ賢さ、と呼びたいのです。

                                                                        (2006.12.15)

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