海ゆかばのすべて  キングレコード(2005/6/22)  KICG3228
                                              
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名曲「海ゆかば」がどう歌われたか、を聴き比べる,   2007/1/16

先回までの戦争下で、ほとんどすべての日本人は、戦争を遂行することに邁進せざるを得なかった。それは、時の権力組織が、日本人の古くからの「以和為貴」の精神などと相まって末端まで整備され、統制された結果であろう。その状況は、第2次大戦の進むにつれ完璧の域に限りなく近づいた。

芸術家とてそれらの状況下におかれており、与謝野晶子の「君死にたまうことなかれ」などは、極めて稀な例である。音楽家も戦争のための音楽を沢山作っている。そのことは、それら多勢の「努力」のなかから「優れた音楽」が多いに生まれ得ることを示し、実際に生まれた。その最たる例が「海ゆかば」であろう。

最も考えられなければならないのは、それがどう歌われたか、である。このレコードは、「海ゆかば」の25件のバージョンを集録し、聴き比べられるようになっている。ラッパあり、オルガン演奏あり、弦楽四重奏あり、他の歌中への挿入歌あり、合唱あり、独唱ありで歌っている人も多様で寅さんまで入っている。

それぞれを聴きながら、「海ゆかば」をそれぞれ思いながら鑑賞・評価ができるようになっている。


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