「老学共闘」

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私が学生だった頃、大学の門前などに立てかけられた看板に「労学共闘」という言葉があったように思う。労働者と学生が決起して革命を起こそう、といった文脈だったように思う。

加藤周一さんの東大駒場での講演の内容からその言葉を思い出した。もっとも加藤さんが話したのは「老学共闘」なのだが。

加藤さんの講演会「老人と学生の未来−戦争か平和か−」(2006/12/8)には、開演前から列ができ、600人の学生や老人が参加したという。以下に、それを聞いた方の報告を要約して記すことにする。

「日本国憲法の精神は9条と11条によってよく分かる。国外で戦争する法律、国内でそれに対応するための法律など、そんな法律は次々にできるが、他方で戦争をしない方向の法律がいっさい作られない。これは重大である。『9条の会』は、戦争が嫌なら今がんばらなければ取り返しがつかない、と考える。

「戦争は、国民への洗脳を伴い、人権尊重を壊す。人権のうち最も大切な生命を傷つける。

「講演会に老人はよく来るが若者は来ない。1968年前後は世の動きに学生が反応したが老人は反応しなかった。当時の学生のやり方には賛成できないとはいえ、学生は怒っていた。今は老人が怒っていて、学生は静かである。扇動するわけではないが、今、老人と学生が一体化すれば、9条の『改正』計画は挫折するだろう。老人だけの力で社会は変えられないが、学生は社会を根本的に変える力を持つ。

「老人と学生はふたつの点で共通する。すなわち、学生時代は短く、老人生活も短い、これがひとつ。あとひとつは、老人と学生には自由がある、これが、両者が一体化することを提案する所以である」

以上のような講演を私も聴けば良かったと思ったが、それはさておき、加藤さんはうまいことをいうものである。確かに、「老農共闘」という言葉はともかくとしても、老人と学生が一体化して本当に動き出せば、革命は起きないが、憲法9条の改悪は阻止できそうに思えてくる。

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